小4ーライター調達編
図書館で「僕らの七日間戦争」という本をみつけた。
小学生が惹かれそうなタイトルだ。
まんまと手に取ってパラパラと読み始める。
そこで初めて目にした「セックス」の四文字。
意味は分からないが何か良からぬ香りのする響きである。
この言葉を理解するのは小5ー精通編以降である。
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あれは秋頃だったか。
清掃工場方面の比較的殺風景な住宅街にNくんは住んでいた。
彼のアパートの裏には他の建造物に囲まれたせいか謎の空地が残った。
大きさは12畳ほど。
壁に囲まれていて誰にも見つからない。
秘密基地の発見である。
5,6人で集まって何をするわけでもなくグダグダしていた。
遊戯王デュエルをしていた気もする。
友達がサイコショッカーを引き当てたかで盛り上がった。
ここまでは子供らしく平和だった。
ある日、魔の手が現れた。
暇で黄昏ていたとき、とある子が拾ってきたライターで落ち葉に火をつけた。
小4の僕たちは目の前で燃え上がる炎に感動し興味を示した。
最低限安全面に配慮しながらいろんなものを燃やして遊んだ。
自分たちはいま危ないことをしている。
でも誰も止めようと言い出せない。
臆病な僕は近くで見て楽しんでいた。
その日から公園などでライターを拾っては秘密基地へ溜め込みにいった。当時一緒に住んでいた母の妹が喫煙者だったため家にあったライターも1つ盗んだ。
ライターの調達係として活躍したのである。
今思えば完全にパシリ役であった。
火遊びはエスカレートしていき、
ドラム缶の中が炎でいっぱいになったこともあった。
スリルがたまらない。
止められなかった。
数週間後、
近所の人に通報された。
小学校へ連絡もいった。
担任から心当たりのあるものは放課後残れと指示。
校長からも話があるとのこと。
誰がやったかほぼ把握済みだった。
完全にビビりまくった。
ビビッて。ビビッて。僕は帰った。
バレない自信があったのだろうか、可能性にかけてしらばっくれて帰った。
担任からは真面目な奴と思われていただろうし
母にも学校でしっかりやってる子だと思われていた。
そのイメージを壊したくない!
僕が火遊びなんてするわけないだろ!
近くでみていただけだし!
火はつけていない!
バレていた。
でも放課後残った子たちが僕をかばってくれたらしい。
「〇〇はライター持ってきてただけ」って。
かばえてないから!
ほぼ主犯格じゃん。
元凶は僕でもあった。
後日、担任には説教くらったが、母には自己申告で伝えなさいとのことだったので勿論伝えなかった。
母に怒られなかっただけでも幸いである。
火の用心。
マジで火事にならなくてよかったです。
落ち葉の焦げた危ない香りが今でも忘れられない。